第12章 信念
『………っ』
刃先を喉元に突き付けられ、
息が止まった
心とは裏腹に
身体は恐怖で肌が粟立ち震え上がる
「──俺を恨め、」
(────っ殺される!)
そう思い
斬られる覚悟をした
しかし、脳裏に掠めた
小屋の男の酷い怪我
(私が今
殺されてしまったら
あの人が助かる確率は──……)
刀の柄を握る手が微かに力が込められる
スローモーションに動く
刀を手で直接受け止める
ザクッ
「!?」
『っ、待ってください!
今、怪我人の手当てをしている最中なんです!』
「──手当て?」
義経は刀を押さえつけた白い手から
流れる血を見て
僅かに眉を顰めたあと
いつも通りの顔色で問い返してくる
(怯むな、怯んだら駄目だ!)
あやかしに初めて襲われた日を
思い出した
(殺されそうになったことなんて
何度もある
その度に何度も何度も
何とか生き抜いてきた)
死にたくないんじゃない
死んでられない
こんな所で死んでたまるか!!