第12章 信念
「気まぐれに参加した戦に、
思わぬ伏兵が潜んでいるとは」
『まさか敵の援軍って
反乱軍の事だったんですか?』
「軍と言えるほどの兵は連れてきていない」
(そういえば頼朝様が言ってた)
「あいつはどんな危機的な状況をも
1人で戦をひっくり返す」
──────と
歴史にも義経の戦いぶりは鬼神だと
讃えられていた
(そんな怖い人に目をつけられてしまった)
それ以前にこの状況が如何に
まずいかなんて本能が悟っている
「あなたがいるということは、
幕府がこの戦場に来ているということか」
『──っそれは』
「答えろ」
ゾクッ
有無を言わさない威圧感に
背中に悪寒が走る
『────頼朝様ならいませんよ』
威圧感に押しつぶされないように
強く見つめ返した
(たとえ殺されそうになっても
絶望した顔なんてしたくない)
最後まで諦めたくない
絶望より希望を持って生きたいから
「──そうか。
では、大切な切り札を手元から離したことが
頼朝公の失策だ」