第6章 うすべにひめ
さっきのページと同じ構図の絵。
しかし枯れ草が寝台を埋め、土色に染まった服だけが残っていた。
少女は…多分、腐敗したのだろう。
頭の部分に、辛うじて王冠だけが残っている。
デフォルメされた絵でなければ、目を覆いたくなるような惨状だった。
"そのお姫さまは、
たいそう愛されておりました。
世界のどこをさがしても、
北の果てに住むまじょ以外に、
お姫さまを嫌う人はいませんでした。
なぜなら、
全てはお姫さまのゆめの中のお話だったのですから。
ほんとうはもう、とっくの昔に、
お城からみんないなくなっていたのです。"
「相変わらずひどい筋ですよね」
いつの間にか手元を一緒に覗いていた黒子くんがつぶやく。
「呪いを解いてもらいたくて、王子様を寝て待つことにしたけれど……結局誰も来なくて、死んじゃったんですよね。このお姫様」
「そうだよ。他の国のシリーズもあるんだけど
……よその王子様も、みんな死んじゃってみたいだからね」
自分で解こうとすれば、ちょっとは違ったかもしれないよ。
私の言葉に、黒子くんは静かに唇を引き結んだ。