第2章 カウンターパートの赤いやつ
キセキと呼ばれる友人たちをはじめ、たぶん、帝光の人間はみんな、赤司の無事を祈っている。
いや、みんなというのは語弊があるかもしれない。
彼はその突出した能力ゆえに、恨みを買うことも多かったから。
現に、和泉の知る限りでは、二人の友人が赤司のもとを去っている。
「難しいものだな」
そう寂しげに笑った彼を、支えられるようになりたいと思ったのは、いつからだっただろうか。
「和泉」
柔らかなアルトで名前を呼ばれ、振り返る。
いつの間に病室に入ってきたのか、そこには苦い顔をした親友の姿があった。
「緋那ちゃん」
「ノックしても返事無いから、何事かと思っただろ」
驚かせんな。そう言ってため息をつく緋那の目には、しっかり隈ができている。
「……ごめん。ちょっと、考え事してたから」
「あまり思い詰めんな。お前まで体調悪くなったらどうすんだよ。少しは休め」
「でも」
その間に、取り返しのつかないことになったら。
最悪の事態ばかりが、脳裏に浮かんでは消える。