第2章 カウンターパートの赤いやつ
玲央へ
これを書いているのは、宴席の前日だ。
黒子の件もあって、最近俺の周りはピリピリしている。
だからというわけでもないが、一つ頼みごとを聞いてほしいんだ。
少し嫌な予感がするものでね。
念には念を、というやつさ。
さて、本題に入ろうか。
推測が正しければ、恐らく玲央の元にこれが届く頃、俺は身動きが取れない状況に置かれていることだろう。
同封してある品物は、宴席が滞りなく進んでいれば、俺の手から「彼女」に渡っていたはずの代物だ。
大人しい方の彼女といえば伝わるかな。
これを、できるだけ迅速かつ内密に、彼女に手渡してもらえないだろうか。
困ったことに、頼れそうな人間がお前しかいないんだ。
働きに期待しているよ。
征十郎