第2章 カウンターパートの赤いやつ
各方面に融通が利くが、反面果たすべき責務も大きい。
……いや、逆か。果たすべき責務のために、様々な便宜が図られる。
いずれにせよ、生まれついての特権階級というものは、諸刃の剣によく似ていた。
「この国の頂点である家の次期当主」。
玲央の知る限り、最も重くて鋭いそれを、赤司は生まれながらにして背負っている。
だから、赤司が公的な行事であるパーティーの席に、家の繋がりも何もない、階級もかなり格下の少女二人を招待すると言い出した時は、何を考えているのかと焦ったものだ。
以前から和泉達を気に入っている様子は見せていたが、まさかここまでとは玲央も予想していなかった。
きっと、赤司家の人間としてではなく、「赤司征十郎」個人として、招待したかったのだろう。
そう思わせるに十分な品物が玲央の手元に届いたのは、つい今朝がたのことだった。