第2章 Lupine あなたは私の安らぎ
カズサの気持ちも俺の気持ちも同じなら遠慮はいらねえ。
プロポーズからしてお粗末で格好つかないが、時間が足りねえ。
最優先のご両親に挨拶し了承を得て、婚姻届を直ぐに提出。会社にも報告、手続きを急がせて海外赴任に向けてカズサのVISAの手続きも並行していく。
やる事は山ほどあるが疲れは感じない。
むしろ楽しんでいる。一つずつ手配が終われば、カズサが俺の最愛の妻になる。
疲れる訳ないだろう?
気持ちを確かめた日から課長、訂正。リヴァイさんは動いてないと死んでしまうの?と思うくらいに持ち前の行動力(ここまでとは思わなかった)で次々と手続きなどをしていく。
本当は赴任日に余裕はそんなになくて、とにかくスピードとの戦いに近い。らしい。
それでもリヴァイさんはまったく疲れを見せない。
でも二人の時は想像出来なかったくらいに甘く優しくて、それにもギャップを感じて胸が温かくなる。
もちろんわたしも手続きしなければならないこともあるけれどそれ以上に頑張っているリヴァイさんのお手伝いがしたい。
「指輪もなにもまだ用意できなくて悪い…」
時折、突然のプロポーズや強引だった結婚するぞ宣言にリヴァイさん自身が弱気になることがある。
いつも周りに気を配って冷静な判断をする人なのに、わたしにしてみれば(憧れてはいるけど)急がなくてもそのうち、って思ってるのを気に病んでる。
「婚約指輪も結婚指輪も結婚式だって一生ものだろう?大切じゃないか。俺だってカズサと結婚式挙げてえ。ドレス姿も見てえ。指輪だってカズサは俺の妻で俺はカズサの夫だって知らしめてえ」
そっぽを向いてしまうリヴァイさん(仕事が終わったら課長じゃねえだろ。名前で呼んでくれ。と照れながら言ってきた)
「確かに人並みに憧れはありますよ?でも帰ってからでも充分間に合いますし、何よりもリヴァイさんがいてくれればそれでいい。って思っちゃうんです」
宝物に触れるように頬にキスをして、鼻の頭にもキスを落とす。
「わかった。指輪は向こうで一緒に選ぼう。結婚式は今は時間がねえからできないが、絶対にする。それまではすまないが写真で我慢してくれ」
仕事に煩雑な手続きに追われながらわたしの願いを叶えようとできる限りのことを考えてくれる。
こんなに愛してくれる人はいない。
