第2章 Lupine あなたは私の安らぎ
「ゆっくりでいい、話せるとこから話してほしい」
ペトラは心配そうにカズサを見つめている。
ハンジは初めて聞くのか、それとも俺が帰宅するまでにいくらかは聞いているのか、わからない。
深呼吸をしてからカズサは時系列に(こんな時にもわかりやすく話そうと気遣っているらしい)話始めた。
警察署へ行き担当警察官に会って、2度目以降は何もないかを確認された。
詳細を聞きたいとペトラとは別の部屋に通され、早速ストーカー行為について(何度も説明しているにも関わらず)質問や周りに不審な人物、またよく見るような人物はいないかと問われたり、俺の家に住むことになった経緯や俺との関係を聞かれたらしい。
一通りの聴取が終わると、今度は警察から気持ち悪いペンダントやベッドに残されたもの、カズサの部屋に残されていた指紋についての話しになったらしい。
女性警官が側にいてできるだけショックを和らげるように時折声をかけてくれた。とのことだ。
結果として、指紋は勿論カズサとは違うしペンダントの中身はハンジの予想通り、ベッドの汚れも予想していたものでその他にもバスルームからはカズサとは違う髪の毛も出てきたと、淡々と話されたと。
この対応は間違っていない。
現実が厳しい程、伝える時は感情を込めては返って被害者は混乱してしまう。
そしてペンダント、ベッドの汚れのDNAは一致。
同一人物の可能性が高いとの結果だったと。
エスカレートしていることから早期に部屋を引き払い、会社内の写真もあることから可能であれば会社を辞めるのも一つの手で一人での行動はしないほうがいいとのことだった。
残念ながら警察のデータベースには記録がなく、どこの誰かまではわからないのが現状であると言われた時は眩暈がした。とそこまで聞いてペトラが怒りを露わにした。
「どうして被害者であるカズサが会社辞めたりしなきゃならないんですか?加害者を捕まえて安心させるのが警察でしょう!!」
ペトラの気持ちもわかるがデータベースにもない、どこの誰かもわからない変質者から完全に守るのは警察でも無理だ。
しかし、今日俺に起こった出来事で解決に繋がる可能性もある。
ハンジの言う通りだ。半端にずっと怖がらせるよりもゼインのことを言っておいた方か良い。