第2章 Lupine あなたは私の安らぎ
幸い怪我はなく、救急車の世話になることはなかった。
警察には簡単に状況を話したが、署へ行くのは避けられない。
ハンジに連絡し現状を説明して自宅マンションに向かってもらうのと、ペトラにも連絡しハンジが来るので、その時だけはドアを開けてほしいとだけ伝えた。
「襲ってきたのはあなたの会社の方で間違いはないということですね、恨みをかうような出来事は?」
「恐らくは会社でのやり取りや人間関係かと」
「なるほど、彼は大変な興奮状態でして事情が話せない状況です。」
もう一人の警官が、俺の名前を再確認し怪訝な表情をし、リヴァイ・アッカーマンさん?と一人言のように呟くので頷くと、「あ~!あなたにもストーカーの件で事情を伺いたかったんですよ」
部下であるカズサがストーカー行為に悩まされ、住む所が見つからずやむ無く俺のマンションに一緒に住んでいる事。
会社ではカズサへの嫌がらせに近い行為があったことを会議にかけたことを話した。
「会社での会議で彼をストーカーとして告発としたということですか?」
「いえ、ストーカー行為については事情聴取中とだけで主に仕事に関しての会議でした」
「それにしても・・部下の女性を独身男性の自宅に、ねぇ」
そりゃそうだ。普通に考えておかしな話だ。
この警官の中では俺も容疑者候補、しかも最重要だろうな。
心の声はおくびにも出さずに聞かれたことを答える。
一番、腑に落ちなかったらしい部下との同居だが理由も経緯もそのまま伝えた。
何度も繰り返される質疑応答に内心うんざりしながらも答え、整合性が認められたのか、一時的なものかは知らないが帰宅を許された。
後日、ゼインの聴取が取れるようになってから呼び出しされるらしい。
早く帰宅したくてタクシーに乗った。
行先を告げるとすぐにプライベートのスマホを確認する。
ハンジからのメールと着信記録、エルヴィンからもメールがきている。
まずはハンジに連絡するとすぐに通話になった。
「ちょっと、待ってて」
恐らく場所を移したのだろう。微かに音がしてハンジが話し始めた。
「怪我はない?」
「怪我してねぇよ。それよりもカズサは?」
「詳細わからないから残業で私は遊びにきたって言ったんだけど。信じてない」
「わかった、もう着く、そのまま居てくれ」