第2章 Lupine あなたは私の安らぎ
懇切丁寧に説明しているが案の定、営業部からは重箱の隅をつつくような反論がされる。
曰く
仕事のサポートは当たり前である、契約率につながる資料であれば猶更にサポートしてくれるのが社員としての務め。
プライベートについて社内メールを利用したのは指導対象だが、それを言うならアッカーマン課長は公私混同も甚だしい。
途中からは馬鹿らしくて鼻で笑いそうになったが、俺はゼインから視線を反らさずに話す。
「まずは自分がカズサといるのは彼女がストーカー行為に悩まされており、社内での盗み撮りもあったからだ」
「前回の言い分とは違うじゃないか!」
「どこにいるかわからない変態から守るためで今、警察の事情聴取を受けている。この件に関しては警察も動いているので詳細は話せない」
呆気に取られているたぬきには疑問を考えさせる前に言いきる
「では、本来の話しに戻すが他部署の人間が頼りになるからと言って残業までさせておいて自分は定時上がりなのはどういう理屈だ」
「だから、その点については外回りや契約上の接待など……」
「なるほど、しかし接待であれば出るはずの経費は出ていないようだが」
「時には自腹を切ることもあるんだ」
「そうか。しかしゼインが仕事を押し付けている日に上司や同僚と飲み歩いているのは仕事の放棄と考えている」
パサッと実に楽しそうなゼイン達の様子を捉えた画像を出してやる。
これはハンジが飲みに参加した人物から入手したらしい。
それと併せてゼインからカズサへの結構な数の個人的な連絡の社内メールを開示する。
ここで始めてゼインが反論する。
「今まで話されているのは僕への誹謗中傷ですかっ!プライベートに立ち入ったりメールを開示するのはコンプライアンス違反とかになるんじゃないですか?!」
ほお、自分の保身に走ったか。
「誹謗中傷と言うが、俺が理解しているのとお前とはだいぶ違いがありそうだな。いい機会だ。教えてくれないか」