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【進撃】中・短編 【リヴァイ】

第2章 Lupine あなたは私の安らぎ



深夜、ハンジやエルヴィンとこれからについての連絡を終え、そろそろ寝るかとリビングに行く。

リビングに入ったことで照明がつくとビクリとカズサの肩が動いた。

「眠れねぇのか」

わかりきっているのにかけてやる言葉がこれしかない。

振り返ったカズサは青白く表情も人形のようだ。

「すみません」

「いいや、ちょうど茶でも飲みたかった」

カチャカチャと2人分のラベンダーティーを淹れる用意をしていると急に訊ねられた。


「ここに来て少し経ちますが、ずっと思ってたんです」

耳と脳を集中させる。

「このマンションのお家賃は給料でまかなえるでしょうか?」

ああ、なるほど。引越し先について考えてたのか。

「無理だろうな。俺はそれなりに投資で稼いでるからな」

「そうでしたか」

力なく答えるカズサにカップを差し出す。

「ありがとうございます」

カップから立ち上る香りを味わうようにしてから、こくりと飲む。

「おいしいです。課長が淹れるお茶はみんな」

「そうか」

深夜独特の静けさのなか、俺は心臓が早く脈打っていた。

惚れた女と一緒の夜だが、そんな浮ついた気分じゃねえ。

いや、嬉しいが今は嫌な予感すらしている。

「私、家引き払って会社辞めようと思って」

「行く当てはあんのか」

「そうですね、実家でもいいですかね、地元の小さな会社で働いて。そしたら、もうこんな目にも皆さんにも……」

抱きしめたい。泣いているこいつを。だけど俺達はそんな距離じゃない。そんなことしたら、カズサをここまで追い詰めた奴となにも変わらない。

勝手に腕が動かないようにカップから手は離さない。

しくしくと続く嗚咽に胸が痛む。こいつは何も悪くない。

「……お前が自分で望んで決めたことなら俺達は止めない。だが、変態野郎の為にそうするんってなら少なくとも俺は止める。ここだって居てくれて構わない、むしろ居てほしい」

目の前に自分の意思ではなく人生を捻じ曲げるしかないと思っているカズサ。
もうこれは部下にする態度じゃないのはわかってる。
だが仕方ないだろう、感情と思いが一度口をついたら止まらない経験。誰にでもあるだろう?


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