第2章 Lupine あなたは私の安らぎ
いつも車で出勤しているがカズサは電車通勤らしく俺の車を汚してしまうと訳の分からないことを言って乗りたがらない。汚れたら掃除すれば良いだけの事だ。
とにかく時間も迫っている。ようやくカズサを乗せて車を走らせる。
俺といるのは嫌かも知れないが、せめてイカれた人間を何とかしないと俺が持たない。
会社に着くと2人一緒にフロアに入る。
そして飯も休憩も一緒だ。
もちろん帰りも一緒ですぐに社内恋愛と噂になっているらしい。
無茶な依頼をする奴らもカズサに近づくことも無く時折、2人でいる所を女性社員がじっと見ては何やらコソコソ話しているがペトラによるとカズサが俺と一緒にいるのが気に食わないらしい。
今のところそいつらもカズサに何かしている様子はないと報告を受けている。
俺が会議やらでいられない時はペトラを始め俺の班員で注視している。
社内にはさすがにイカレてるのはいないか。
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エルヴィンから営業部から呼び出しがあり、どうやら俺を締め上げたいらしい。
「アッカーマン課長は以前に営業部に苦情を述べていたが君の行動の方が問題だろう」
「君の方が公私混同もいいところだ」
ここぞとばかりに責めるのは、さぞかし楽しいだろうな。
一通りの苦情を聞いてから、とりあえず頭を下げる。
「風紀を乱し申し訳ありません、少々浮かれておりました」
とにかく黙らせるために頭さげてやる。
「そ、そうかね。しかしこれからは気をつけたまえ」
エルヴィンは目を丸くしていたが、すぐに表情を戻した。
「それは良かったな、しかし自重するように。それとは別件だが仕事の押しつけに関してほぼ判明している。それに関しても話したいのだが時間は大丈夫かな」
話をすり替えられた事で完全勝利とならなかったせいか、本当に時間がないのか、それぞれ時間が取れないと言ってきた。
「急だからね。仕方がない、それについては明日話そう」
営業部のたぬきが出ていくとエルヴィンは俺に現状況を訊ねた。
ここ最近のカズサに起こったことを詳細に話し社内にもストーカーまがいの事をしてる奴らがいるから牽制だ。というと呆れた顔で「やり過ぎるなよ」と笑った。