第2章 Lupine あなたは私の安らぎ
19時過ぎ。ペトラの部屋にはペトラ、わたし、オルオさん、そして鬼のような形相のリヴァイ課長でテーブルを囲んでいる。
「ふざけんなよ」
今までみたことない程のリヴァイ課長の怒りにリヴァイ班の二人も沈黙している。
「で、誰にも頼らずに一人で何とかしよう。としてたで合ってるか」
縮こまりながら肯定すると「クソが」と吐き捨てられる。
「ペトラ、オルオついてこい。」
「わかりました」一切の説明はないのにペトラにはリヴァイ課長の言っていることが理解できているようだ。
スッと三人が立つと「グズグズすんな、お前の家に行くぞ」と驚く展開になっている。
「カズサは俺の車、ペトラはオルオだ」
駐車場に止められている車で二手に別れる。
「お前はこっちだ。乗れ」
助手席を指し、課長はすでに運転席に乗っている。
「お前の家までナビしろ、オルオ達はこっちの後についてくる。黙って最短ルートでナビしろ」
それからは方向と道順だけの発言でリヴァイ課長は返事せず、そのまま運転する。
※※※
半日振りの自宅マンションに着くとすぐにオルオさんたちも到着した。
「オルオ、お前はここで見張りだ」
「ペトラは俺とカズサの部屋に行くぞ」
昨日の記憶がよみがえるが一人ではないことがこんなに安心できるとは知らなかった。
部屋の前まで来ると「カズサはペトラと用意しろ、俺はここで待つ」
部屋に入るとペトラから大き目のバッグかキャリーバッグ、あれば両方に貴重品、衣料、その他この部屋からすぐ持ち出したい物を入れるからとペトラ自身も動き出す。
「勝手にごめん、でも今が最善のタイミングだから」
貴重品と当面の衣料品などを次々に持って一番大きいバッグとキャリーバッグにペトラと詰めていく。
手伝ってくれたおかげで思ったよりも早く荷物を纏められた。
「忘れ物はない?」
「忘れ物はないと思う。当分は大丈夫、ありがとう」
「そんなのはいいから。準備できたなら行くよ」
荷物を二人で持って出ると来た時と同じ体勢で視線は鋭く周囲を見ているリヴァイ課長がいる。
「終わりか、出るぞ」
荷物を取りに来れたのはいいけれども、ペトラの部屋に全部運ぶわけにはいかない、と言うとやっぱり怖い顔でリヴァイ課長は「話しは後だ」とわたし達の後ろから警戒するように歩く。