第2章 Lupine あなたは私の安らぎ
「ところでさ、久しぶりに飲みに行かない?」
「いかねえ」
「即答かよ。いいのかなぁ。自分で言うのもなんだけど結構情報通なんだよねぇ〜」
ハンジが一体どんな情報を仕入れているか、情報源はどこからかは知りたくはないが先ほどの言葉から自分が求めている情報の可能性もある。
「どんな話だ」
「おっと、ノッてきたね。じゃ今日は何がなんでも定時で上がってよ?あとでお店のURL送るからさ」
んじゃ、またねぇ~と気の抜けた声で出ていく。
ハンジからの話が有意義なものでなかったら〆る。と心に決めてPCに向かった。
※※※
いつも仕事を無茶振りをしてくる同僚の肩代わりがなくなって残業はかなり減り定時、遅くとも定時よりちょっと過ぎで帰れることが多くなった。
急に同僚たちが仕事を持ってこなくなったのを不思議に思いつつも早めに帰宅できるのが嬉しかった。
どうして仕事を押し付ける人たちがいないのか詳しくは知らない。おそらくは直属上司であるリヴァイ課長がなにかしらの関わりがあるのかもと思うが憶測だけでものを言って何のことだ。と返されおかしな部下とも思われたくない。
「カズサさん、会社近くにいい感じのお店見つけたの。よかったら仕事あがりにでも行かない?」何かと気にかけてくれるペトラさんからのお誘いにウキウキしながら是非!と答えた。
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「やっと来たね、もう始めちゃってるよ!」
ハンジが選んだ店は絶対に自分なら選ばない少々清潔感に問題がありそうなところだが今日は目を瞑るしかない。
「これでも急いで来た」
四人掛けのテーブルに腰をおろして取り合えずのビールを頼む。悪い奴じゃないが酔ったハンジはかなり面倒で聞きたいことも聞けなくなる可能性があるので早々に切り出した。
「で、お前の知ってることは全部話せ」
せっかちだよなぁと勿体ぶるハンジにイラっとしたが抑えて話を促す。
「君んとこのカズサちゃんね、仕事押し付けておいてさ、ストーカ紛いなことしてる男らもいるんだよ。メールやら直接とかね。仕事断らないから押せば何とかなるだろうってゲスな考えの奴ね。で断られると仕返しとばかりに仕事押し付けてるってわけ」
「あ”ぁ。なんだそのクソみたいな考えは」
思わず乱暴に手にしたジョッキをテーブルに置いた。