第2章 Lupine あなたは私の安らぎ
あっという間の休みはあけて週明け特有のダルさと忙しさが社員全員を追い立てる。
「会議だが俺の班全員参加だ。」
通称リヴァイ班の全員はサッと会議室へ向かっていく。リヴァイ課長が直々に選んだ社員。リヴァイ課長はもとよりリヴァイ班は判断、仕事でもきちんと成績をだし一目置かれている。
静かになったところで向かいの同僚から内線がかかってるから回す。ほぼ同時に内線がピコピコしている。
「はい。営業企画のカズサ・サフィールです」
「営業二課のゼインです、実は」
要約すると取引先から早急に見積もりを出してくれとの要求。自分は外回りで多忙な為明日までに見積もりをだして欲しい。
どんどん勝手に話を進めるゼインさん。
押しに弱い自分の頭に課長の注意が聞こえる。
「申し訳ありませんが」
断りの言葉の途中で社内アプリが通知を知らせる。
「いま、資料とか送ったから。じゃよろしく」
一方的に捲し立てて内線は切れた。
仕事のスケジュールを組み直す。お昼抜いて休憩も抜いて。自分の仕事を終わらせて。そうすれば明日までには間に合う。
(今までの自分が蒔いた種とはいえ、課長に注意されたばかりなのにな)
※※※※
会議自体はスムーズにすみ、方針やプロジェクトメンバーの主な業務分担を決めて終了した。
フロアに戻ろうとするとペトラに呼び止められた。
「どうした。気になる点でもあったか」
「いえ、会議内容とは関係ないのですがカズサさんについて…」
続けろ。と視線で促す。
「他の課からの無理な要望に応えているらしくオーバーワーク気味なのが気になってそれとなく手伝おうとするのですが…」
「わかった。それについては俺が対処する。報告してくれて助かる」
では。一礼してから先にペトラは出た。
トントンと手元の書類をファイルに入れてあいつの近くにいる部下にまずは様子を聞いてみることにした。
自席に戻るといつもと変わらない様子だが、カズサだけは手が休むことなくPCと向き合い続けている。
飯の時間も休憩時間も仕事をしている。
(今度はどいつが仕事持ってきやがった)
先週、話したが昨日今日で変わらないだろう。と思っていた。
カズサの席に近い部下を呼んで聞くと案の定、別部署からの急な仕事を押し付けられたらしい。との返事だった。