第2章 Lupine あなたは私の安らぎ
「あ、」
鞄からスマホを取り出して思い出した。帰る際にリヴァイ課長から無事帰宅したのを連絡するようにと念を押されていた。
自宅近くまで送ってもらっているので無事も何もないとは思うが報連相は社会人の基本。
無難な文面を送信。今頃は届いているだろう。
とりあえず武装の化粧を落としアルコールで熱っぽい思考をクリアにしたい。
化粧や汗や疲れ諸々流し落としてコップ一杯の冷えた水を一気に飲み干す。
明日は晴れるかな。ベランダにでて空をみる。雲もなく遠く薄く月の光が空から降り注いでいる。
外の生ぬるい風も気にならない。思い出すのは普段ならありえない時間を過ごしたこと。
社内でも有名なリヴァイ課長。悪い意味ではなく態度や口調は荒いし新人はもれなく一度は静かに(決して怒鳴ったりはしない)ただミスはなぜ起こったか、それに対する対応を考えさせる。大抵の新人はどうしたらいいかわからない。
さりげないヒントを出しつつ最善へもっていく。
自分も何度か呼び出され「考えろ」と言われ鍛えられた。と思う。
慣れるまでは呼び出されるのは恐怖しかなかったけど。
「お酒はいっていたとは言えあれこれしゃべり過ぎた、な」
酔いが醒めてくると頭を抱えたくなった。
(忘れてくれると嬉しいんだけど無理だよなあ)
いつまでもベランダにいても仕方ない。部屋に戻ってスマホのお知らせが点滅しているのを見て確認するとリヴァイ課長から『おやすみ』の一言。
さっきまでの落ち込みが薄らいでいく。
「現金だよね」メッセージを眺めながら誰もいない空間に零した。
明日は休日だし、午前は家事にあてて午後は息抜きにブラブラするのも買い物するのもいいな。
カズサは寝つきが悪く眠るまで時間がかかる。
(今日は早く眠れそう)
薄手のブランケットにくるまり目を閉じた。
※※※
(もうこんな時間か。)
時計の針は午前3時を回る頃。リヴァイはショートスリーパーだ。
連日でなければ徹夜してもさほど堪えない。
ソファに座って本を読んでいると時間は飛んでいく。
首をコキっと鳴らして飲み物を取りに冷蔵庫を開けアイスティーを手に戻る。
(本当に役に立つのか、これは・・)
ハンジから渡された本は今まで読むことはないだろうと思っていた。だがもしかしたら必要かもしれないと慣れないジャンルの本を読むのを再開した。
