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【進撃】中・短編 【リヴァイ】

第2章 Lupine あなたは私の安らぎ



「よし、そろそろ帰るか」

サッと荷物を纏めて支払いを済ませ課長は出入口で待っている。

「課長!」

財布を手に持っている私を見て嫌そうな顔をしている。

「何を言い出すのかは分かるがその財布は仕舞え」

「せめて割り勘で」

「誘ったのは俺だ。恥かかせんな」

「ありがとうございます。ご、ごちそうさまでした」

「時間も遅くなっちまったな。タクシーつかうか」

タイミングよく1台のタクシーを捕まえ、半ば無理やりに乗り込ませ、これまた無理やり握らせたタクシー代で一悶着になる。運転手のマスクで隠れた顔からも早くして欲しいと伝わってくる。

膠着状態は課長が制した。

「分かった。奥に寄れ。送っていけば問題は解決だ。」

「いえ私が別のタクシーで帰りますから」

「決定事項だ。苦情は聞かん。出してくれ」

走り出したタクシー、行先は私の家。

「カズサを送ったあと、そのまま俺も帰る。合理的だろ」

「せめてタクシー代だけで、も」

言い募る私に不機嫌な顔で「気にするな。帰り道だ」
と取り付く島もない。

いくらなんでも疲れてる課長に仕事を手伝って貰って食事代も出してもらって更にはタクシー代まで。
申し訳なさすぎる。縮こまっているとポンっと頭に手を乗せ「俺はお前より稼いでるから気にするな。悪いと思うなら適正な仕事で返せばいい」

アルコールのせいだろうか。リヴァイ課長の表情が柔らかく口角のあがった大人の色気が毒だ。

「聞こえてんのか?」

「はい、本当にありがとうございます」

「ありがとうとすみませんばかり聞いてる気がするぞ。カズサ、こういう時は甘えていい。もちろん甘える相手は吟味しろよ?」

勘違いが始まりそうになるから早く家に着いて欲しい。
週末の夜ではあるけれど、帰宅の道は混んでなくてスムーズに自宅へ運んでくれる。
お店では話もできていたのに車内では無言になってしまう。

きっとリヴァイ課長は気にもしていないと思う。この空気を作ってしまったのは私だ。それでもお互い窓から流れる景色を見ていた。

私の自宅マンションに到着し、何か言わなければとしているとリヴァイ課長が先手を取った。

「お疲れ、じゃあな」

「はい。課長、今日はいろいろとありがとうございました」

フッと微かな笑顔を見せて、そのままタクシーに乗って行ってしまった。

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