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【進撃】中・短編 【リヴァイ】

第1章 ”さよなら”




エルヴィンさん達の到着でメンバーは揃った。
軽く挨拶してから、それぞれリュックに必要な物がちゃんと入っているか、ハイキングコースのルートも確認した。
さあ。準備はOKとなったところでハンジさんが遊歩道が狭いから念のためと言って二人一組で歩く事になった。

※※※

わざとなのか、どうなのか。
ハンジさんとナナバさん。
エルヴィンさんとミケさん。
残るは私とリヴァイ。

気まずさは漂うけど初めてリヴァイも参加した交流に水は差したくない。

前後には仲良く話しながら進む二組と途切れがちな会話の私達。
今の共通話題は勤め先である病院の事。もちろん患者の事ではなく学会や院内の雰囲気といった笑えもしない業務連絡のような堅苦しい会話。
でも付き合ってた頃のことはこの場で話すとこじゃないし、そうでなくとも話す気はない。


山頂まで登ると意外に風が強く澱んだものが吹き飛ばされていく。簡易的な木のテーブルとベンチがあり、軽食をみんなでかぶりつきながら談笑する。
ハンジさんプランでは下山後は温泉宿でゆっくり日頃の疲れを癒やそう!と元気に言っている。
始めはたどたどしい会話も盛り上げてくれるハンジさん達のおかげでリヴァイとも自然な会話ができるようになって気まずさは紛れていた。

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天気が怪しくなってきたので予定より早めに下山することになった。
やっと駐車場について、それぞれ来た時の車に乗る段階になってエルヴィンさんが爆弾を落とした。

「宿につくまでリヴァイだけ一人では少々気の毒だな」

「そうだねえ。黙々と目的地に向かうのって地味に退屈だよね!」

あれよあれよという間に私がリヴァイと同乗する事になった。
確信犯の二人がウィンクし背中を押しリヴァイも反対はしない。
なめらかに走り出した車内では緊張感が張り詰め、さっきまでの解れた空気はどこかへ行ってしまい会話の糸口が見つからない。

「カズサ、ダッシュボードからガム取ってくれ」

「あ、ガムねっ」うわずった声で答えてガムのボトルを出すとリヴァイは口を開けている。

え、なに、口に入れてってこと?戸惑っているのが分かったのか、手がふさがってるから。という要望に応えてつまんだガムを口の中に落とす。

私だけが意識してバカみたい。心の中で自嘲して窓の外の流れていく景色に意識を向けた。

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