第10章 神様からの贈りもの〈煉獄杏寿郎〉
「おかあさん!あのね、きょう、まいごのこねこさんをたすけたよ!でね、おかあさんねこさんに、あえたの!こむぎがみつけてくれたんだよ!」
「そうだったの…!小夏も偉かったねえ!きっと子猫さん、小夏にありがとうって思ってるよ」
「うんっ!」
・・・
三人は夕食を終え、杏寿郎は皿洗いをしていた。かれんもその横で明日の弁当の具材を詰める。
小夏は、リビングに置いた空になったケージを寂しそうにこむぎと見ていた。その様子をかれんと杏寿郎はキッチンからこっそりと覗いていた。
「小夏…、子猫のこと、気に入っていたのね」
「ああ、そうかもしれないな…」
「ねえ、杏寿郎。…小夏にもう伝えてもいいよね?」
「そうだな、きっと喜ぶはずだ」
「うん…!」
かれんはケージを眺める小夏に近づくと、そっとその頭を撫でた。
「…小夏?」
「…こねこさん、おかあさんねこさんと、あえてよかったのに…、すこしだけ、…さびしいっておもうの…」
「小夏は…子猫さんが大好きだったのね」
「…うん、こねこさんのおねえさんになれると、おもったんだ…。…小夏、…おねえさんに、なりたかったなあ…」
その言葉に、ふみのと杏寿郎ははっと目を合わせた。杏寿郎は小夏に寄り抱き上げると、ソファに座らせた。かれんと杏寿郎も、小夏を真ん中にして腰掛けた。
「小夏?小夏にね、神様からのプレゼントがあるの」
「……かみさま、から…?」
「そう。…小夏、ここ、触って?」
「…?」
かれんは自分の下腹部を指さし、小夏はそうっと手を当てた。
「…ここにね、赤ちゃんがいるの」
「えっ…!あかちゃん…?!ここに…?」
「ああ。小夏も、もうすぐお姉さんだ」
杏寿郎も小夏のちいさな手を包み込むように、そっと手を重ねた。
その言葉を聞いて、小夏は目をまん丸にさせて嬉しそうに驚いていた。
「…う、うわあ…っ!えっ、いつ、いつあかちゃんにあえるの…っ?」
「ふふっ、来年の春よ。神様がきっと小夏のお願い事を聞いてくれたのね」