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檸檬香る、その恋に【鬼滅の刃 / 短編集】

第8章 花咲く夜に〈煉獄杏寿郎〉




かれんは、杏寿郎と花火大会の会場まで一緒に行く約束をしていた。待ち合わせは17時半。先日、オフィスの廊下でかれんと杏寿郎はばったり会い、久しぶりにお互いの近況を話し合った。花火大会の話しになり、花火楽しみだね!と嬉しそうに話すかれんに、杏寿郎も目を細めながら「当日は一緒に行こう!17時半にかれんを迎えにいく。かれんのアパートの下で落ち合おう」と声をかけてくれたのだ。

驚いた事に杏寿郎の家は、かれんの家から目と鼻の先だった。入社式の帰り道に最寄り駅で杏寿郎に声をかけられ、その事実が発覚したのだ。
時折、時間が被った時は行き帰りを共にしたりもしていたが、最近は殆どすれ違うこともなくなっていた。

かれんは花火大会も勿論楽しみにしていたが、一目惚れで買った桔梗柄の浴衣を、一番最初に杏寿郎に見てもらえることを密かに楽しみにしていたのだ。

かれんは万が一また発作が起きて皆に迷惑をかけることを案じて、今回の花火大会は泣く泣く行くのを止めることに決めた。かれんはスマホをとり、肩で息をしながら蜜璃に電話をかけた。


「…もしもし、蜜璃ちゃん?今、大丈…夫?支度して、たよね」

『かれんちゃん!大丈夫よ!今終わったところだから!…かれんちゃん、どうかしたの?大丈夫っ??』

「実は…喘息の発作がまた…出ちゃって…。今日はお休み、しようと思うの…。本当に、ごめんね…」

『ええっ!!大丈夫?!何か持っていこうか!?薬とか食べ物とか…何か必要なものあったりする!?』

「ううん、蜜璃ちゃん、ありがとう。薬もあるし、安静にしていれば…治るから、大丈夫。突然でごめんね…皆にも申し訳ないことしちゃった…。蜜璃ちゃん、楽しんきてね!」

『またすぐ皆にも会えるわ!ちゃんと皆には伝えておくね。かれんちゃん、ゆっくり休んでね。何かあったらすぐに、連絡してね!』

「うん、色々とありがとう。じゃまた、会社でね」


かれんは電話を切り、ふうと息をついて、スマホの電話帳から杏寿郎を探す。すると蜜璃からメールが届き開封してみると「無理はしないでね!何かあったら連絡すること!来年の花火大会は一緒に行こうね!」と書かれていた。かれんは蜜璃の文面に目頭が熱くなった。

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