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檸檬香る、その恋に【鬼滅の刃 / 短編集】

第1章 真夜中のコンビニ〈煉獄杏寿郎〉




杏寿郎にメールでそのことを送ると、「俺の乗り換えの駅もそうだった!」との返事が来た。今日はコンビニでいっかと送ると、「たまにはそういうのもいいな^^!」と送られてきた。杏寿郎はどんなことも嫌な顔一つせずに、受け答えをしてくれる。そんな寛大な杏寿郎にかれんは笑みが溢れた。

・・・

「お待たせ!ごめん、待たせちゃった?」

「いや!俺も今着いたところだ!」

「良かった。マンションの近くのコンビニでいいよね?」

「ああ!あそこの唐揚げは絶品だからな!」

杏寿郎はかれんの手を握った。杏寿郎はかれんが横で歩く時は、必ず手を繋いでくれる。エスカレーターでもエレベーターの中でも、杏寿郎はかれんの手を握ってくれた。ここはもう繋がなくていいからと言うと「俺はかれんといつも手を繋いでいたいのだが?」と杏寿郎のその眼光にかれんは負けてしまうのだった。

夜も大分遅いのにコンビニに向かう杏寿郎は溌剌としていた。まるで夜中にこっそりベッドを抜け出して、冷蔵庫のケーキを摘み食いする子どものような無邪気な顔つきだった。

「杏寿郎、何だか楽しそうだね」

「そうか?かれんと一緒ならどんなことも楽しいぞ!」

さらりと嬉しいことを杏寿郎は躊躇いもなく言ってくれる。かれんは嬉しさで頬が緩みながら、杏寿郎の手を更にぎゅっと握った。杏寿郎もそれに応えて、ぎゅっと力強く握り返してくれた。

・・・

「…何にしようかな…?」「迷うな…」

かれんと杏寿郎はコンビニの惣菜と弁当の並ぶ陳列棚の前に立ち、その目を泳がせていた。勿論、手は繋がれたままだった。

「麺もいいが、米も食べたい…。でもこんな時間に炭水化物は良くないか」

「もう今日は気にせず、好きなもの食べよう!残業頑張ったし!」

「うむ!そうだな!」

かれんはふと目の横にある、杏寿郎の肩に顔を向けた。身長は杏寿郎の方が断然高い。かれんはその肩に、自分の頭をこてんと乗せた。

「…どうした?」

杏寿郎のやさしい声色に、かれんは恋人の時のような、甘い気持ちを思い出していた。

「…ううん。杏寿郎にくっつきたかっただけ」

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