第1章 真夜中のコンビニ〈煉獄杏寿郎〉
かれんは繋がれていないもう片方の手を、杏寿郎の腕に絡めた。杏寿郎も自分の肩にもたれるかれんの頭に、頬を乗せる。
「…今日は随分と甘えん坊だな…?」
「ん…疲れているからかな。杏寿郎に甘えたい」
杏寿郎はかれんの頭から頬を離すと、かれんの耳元でそっと囁いた。
「…かれん、遅くまで頑張ったな。明日は休みだ。二人でゆっくりしよう」
その吐息のような杏寿郎の甘い声色に、かれんは思わずぴくっと肩が揺れた。
「…そんなに驚くことか?」
「だ、だって…すっごい艶っぽい声で言うから…っ」
「それはすまなかった!さ、夕飯を選んで帰ろう」
「うん!」
学生に戻ったかのような、束の間のコンビニデートは終わり、かれんと杏寿郎は家に着いても、その手をなかなか離そうとはしなかった。
おしまい 𓂃◌𓈒𓐍