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檸檬香る、その恋に【鬼滅の刃 / 短編集】

第27章 二人の約束〈宇髄天元〉




 ほんと この二人
 早くくっつけばいいのに


梅に見られてるとも知らずに、かれんは天元を見つめっぱなしだった。

・・・

その日の放課後。

今日も生徒会の雑務に追われるかれんは、誰もいない教室でひっそりと作業をしていた。

ふと、天元の座席を見る。
昨日、思いつきで天元に言ってしまった約束がかれんの頭に浮かんだ。


『…ネクタイ、ちゃんとしてきたら、…教えてあげる』


天元はもうそんなことは忘れてしまったのだろうと、かれんは寂しげに笑みを落とした。


 でも ちゃんとネクタイ

 つけてきてくれたもんね


それだけで、かれんは嬉しかった。



するとその時、突然教室の扉が開いた。



「よぉ、かれん。昨日の続き、話してもらおうじゃねーか」

「て、天元くん…っ!?」


かれんは驚き、ぱちぱちと瞬きを繰り返す。

「それで?なんだよ、続きは」

「…続き?」

ぽかんとするかれんに、天元は大きなため息をつく。

「…今日してきただろ、ネクタイ」

「あ、ああ!…え、えと…っ、その…」

まさか約束を覚えていてくれていたなんて。
かれんの心臓が性急に早まる。

沈黙が続くも天元は机に座るかれんにずかずかと近づきしゃがむと、その顔を覗き込んだ。




 そんな

 天元くんが好きだなんて
 
 なんて 言えば




じりじりと距離を詰められ、その視線を逸らそうとするも、天元の紅の瞳はかれんを捉えて離さなかった。


「じゃ、じゃあ、耳、貸して!」

「…はあ?」

「い、いいからっ!耳!天元くん!」


眉間に皺を寄せ、面倒くさそうに天元はかれんの口元に耳を近づける。




「…あ、あのね、昨日、言おうとしていたことは…っ」




こしょこしょと、かれんは天元の耳元に囁いた。


その言葉に、天元の瞳が見開く。



「…以上、です」



言い終えた途端、頬を赤らめて俯くかれん。
膝の上の握った手が震えた。

天元からの反応がない。

何を言ってしまったのだろうと、かれんは後悔の後悔の念に駆られた。


「あのよぉ…」

「!? は、はいっ」


項垂れたかと思いきや、ゆっくりと顔を上げる天元。

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