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檸檬香る、その恋に【鬼滅の刃 / 短編集】

第27章 二人の約束〈宇髄天元〉




かれんと天元は幼稚園からの幼馴染だった。

天元とは同じ幼稚園で出会った。天元は引っ込み思案だったかれんを、いつも外の世界に連れ出してくれた。天真爛漫な天元の笑顔を見ているだけで、かれんは不思議と勇気をもらえるようだった。
気付けばいつも天元はかれんの傍にいてくれた。かれんが悩みを抱えていれば、一番に気づいてくれたのが天元だった。天元のその一言でどれだけ救われただろうか。

しかし高校に入り学年が上がるにつれて、天元はかれんを少しずつ遠ざけるようになっていったのだった。


「天元てさ、昔っからあーなの?」

梅は天元の座席を見つめながら、かれんに訊く。

「ううん…、中学まではあんなじゃなくて…、いつもにこにこ笑ってて、バスケ部のキャプテンとかもしてたし…」

「ふーん…。なんか、あったのかな」

「うん…」


4時間目の開始まであと3分と迫る。
かれんが教室の後ろのドアを見つめていると、突然ガラッと勢いよく開いた。天元だった。少々気怠そうではあるものの、一先ず戻ってきてくれたことに、かれんはほっと胸を撫で下ろした。


 天元くん…
 何かあったのかな…


しかし席に着いた天元の表情は、どこか曇ったままだった。

・・・

「かれん、今日も生徒会でしょ?」

「うん。一緒に帰れなくてごめんね…」

「いーよ。かれんの生徒会落ち着いたらさ、新しくできたカフェ、行こーよ」

「うん…っ!いいね!行こ行こ!」

約束ね!と二人は指切りをして、梅は教室を出て行った。

陽が傾き始めていた教室には、かれんだけになっていた。
かれんが生徒会室に行く支度をしていると、一人の生徒が教室に入ってきた。

「かれん!お疲れ様!終礼が早めに終わったので生徒会室の鍵を開けておいた!」

「! 杏寿郎くん!いつもありがとう!」

そこに現れたのは、同じ生徒会で副会長を担う煉獄杏寿郎だった。

「それは今日の議題で使うプリントか?」

杏寿郎がかれんの手元に視線を向けた。

「そうよ!今日は話し合う項目が多かったからまとめておいたの」

「手間を取らせてしまい、すまない…。かれんの気遣いにはいつも頭が上がらない。ありがとう」

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