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檸檬香る、その恋に【鬼滅の刃 / 短編集】

第3章 思い出すのは〈時透無一郎〉




「大丈夫!!これをつめていこう!皆にも共有してブラッシュアップしていけばもっと素敵になるっ!…私、この時透くんのデザインでやりたい!」

かれんは無一郎にぐいっと身を乗り出すように話していた。無一郎もかれんのきらきらと輝く瞳に思わず目を丸くし、頬を赤らめる。

「…あ、ありがとうございます…」

恥ずかしそうにかれんから目線を逸らす無一郎だったが、その口元が僅かに笑っていた。

(…!時透くんの笑った顔、初めて見るかも…!)

かれんはその無一郎の笑顔に見惚れていた。大人っぽく見えたり、少年のように見えたりとその愛らしい透き通った瞳にどんどん引き込まれていく。無一郎がちらりとこちらを見た途端、その視線にかれんの心臓がどきんと鳴る。

ふとかれんは香水の香りに気付く。

「…時透くん、香水つけてる?雑誌にも出てる今人気の香水」

かれんはその香水のブランドが出している基礎化粧品がお気に入りで、トナーとフェイスオイルを使っていた。男女共に使えるとのことで、最近話題になっているコスメブランドだった。

「…!よくそこのだって分かりましたね。僕、香水は付けないんですけど、そこの石鹸が好きで。その香水と同じ香りの石鹸を使ってて…」

「そうなのね!私もね、そこのお店好きで、特にその香りが大好きなの!…ってごめんね。変なこと聞いて」

「…いえ。…あ、あと、イベントサイトのセキュリティも整ったので、来週から本格的に構成に入れると思います」

「…時透くん、ホントすごい。本当に入社2年目?」

「…一応…」

その日から無一郎は積極的に発案し、周りと連携をとりながら積極的に仕事に取り組んでくれた。


・・・


無一郎がきてから一ヶ月後、ポップアップストアの立ち上げとオンラインストアを無事にオープンすることができた。

店舗とオンラインストアの同時進行での作業は初めてだったかれんは、達成感と緊張から解放された安堵感でほっとしていた。

そしてその夜、部署の皆とイベント関係者とで行きつけのバルにて打ち上げをすることになった。


「皆さん!本当にお疲れ様でした!かれんさんがいたからこそ、今日まで頑張れたし、こんなにも素敵なイベントにできました!かれんさん!いつも本当にありがとうございます!」

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