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檸檬香る、その恋に【鬼滅の刃 / 短編集】

第3章 思い出すのは〈時透無一郎〉




・・・

気付くと時計の針は18時半を指していた。

(…1日があっという間…。イベントの公式ホームページの掲載内容もまとめなきゃだし…。…今日も残業だなあ…)

ふうとかれんは息をついていると、蜜璃がかれんのデスクにやってきた。

「かれんさん!商品のリストアップ終わったので、あとは先週撮った画像と詳細のデータをまとめたらネットに掲載出来そうです!」

「わー!本当!?蜜璃ちゃん仕事早い…!本当助かった!!いつも本当にありがとうね…!!」

「いえいえっ!お安い御用ですっ!」

「あっ今日はウワサの彼とデートでしょ?確か……伊黒くんだっけ?」

「はいっ!そおなんです〜〜っ!2回目のデートでっ!…かれんさん、もしかしてまだ残るんですか?」

「ん〜…そうね、少しだけ残ろうかな!…ほら!私に気にせず、行った行った!」

「で、でも…っ」

「いーから!ほら!遅れるよ!明日、デートの報告待ってるからね!」

蜜璃は申し訳なさそうにしながらも、かれんの笑顔に背中を押され、オフィスを出た。


(…おし!目指せ21時!)

かれんは自分のデスクに戻ろうとすると、無一郎の席のデスクトップがまだついているのに気が付いた。

(消し忘れ…?それともまだオフィスにいるのかな…?)

その無一郎のデスクトップの画面をちらりと覗くと、かれんはそれに目を見開いた。

(…何このレイアウト。すっごい綺麗…)

画像ソフトを用いて作成したであろうその多彩で且つ斬新なデザイン画にかれんは目を奪われるほど釘付けになっていた。

「……檜原さん?」

かれんははっと我に返る。後ろを振り向くと、かれんの真後ろに無一郎が立っていた。

「時透くん!?ご、ごめんなさい!勝手に覗いて…」

「…いえ」

「これ…時透くんが作ったの…?」

「…このイベントの檜原さんの企画書見て、すごくわくわくしたんです。それで僕だったら、こんな感じでやりたいなって思って…。指示も出てないのに勝手なことしてすみません」

「……ねえ、時透くん!!このレイアウトでいこう!!採用していい!?」

「…でも全然まだ作りかけですよ。フォーマットもこれからですし…」


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