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檸檬香る、その恋に【鬼滅の刃 / 短編集】

第24章 恋摘む苺〈煉獄杏寿郎〉




「えっ、でもせっかく杏寿郎くんが採った苺だもの!杏寿郎くんが食べて?」

「俺のことは気にするな!また摘めばいい!」

杏寿郎は苺のヘタを取ると、かれんの口元に近づける。

「…それじゃあ、お言葉に甘えて…っ!」

かれんは躊躇いながらも、杏寿郎が差し出してくれた苺を嬉しそうにぱくりと食べた。

「…どうだ?」

感想も気になるが、杏寿郎を見つめながらもぐもぐと食べるかれんの仕草も何とも可愛らしかった。


「…とーーっても甘くて美味しい…っ!こんなに美味しい苺は初めてかもしれない…!」

「そうか!!それは何よりだ!」


予想以上の感想に、杏寿郎も満面の笑みが溢れた。


「とっても美味しかった…!杏寿郎くんに食べさせてもらったからかな…っ!」

「そうか!かれんの為なら、幾つでも摘んでこよう!」


二人のやりとりは、どの苺の甘さにも敵わない。

かれんと杏寿郎はその後も、制限時間ぎりぎりまで苺狩りを楽しんだ。


・・・

「とっても美味しかったね!やっぱり朝ごはん抜いてきて正解だったかも!」

「まさにだな!一生分程の苺を食べた気がする!」

苺でたらふく膨れた腹を二人はさする。

「…あ、そうだ!はい!これ!杏寿郎くんに!」

「ん?」

かれんは小さな紙袋を杏寿郎に手渡す。

「これは…?」

「さっきの案内所にあったここの農園の苺…!今日運転してくれたお礼に少しだけど…っ。杏寿郎くん、ご実家近いって言ってたよね!」

「…!そうだが…、しかしこれは受け取れない!せっかくだ、かれんの手土産にするといい!」

「ううん、私は大丈夫よ!杏寿郎くんのお陰でこんなにもたくさん美味しい苺を食べられたんだもん。ご家族の皆さんともぜひお家で食べて?」

「…すまない、色々と気を遣わせてしまったな…」

「ううん!全然!杏寿郎くん、弟さんもいるって言ってたから、喜ぶかなって思って…!」

「ありがとう…!では有り難く頂くとしよう!弟の千寿郎もきっと喜ぶ!」

嬉しそうに笑う杏寿郎の顔は兄そのものだった。

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