第24章 恋摘む苺〈煉獄杏寿郎〉
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二人は案内所にて受付を済ませる。農家のオーナーは、集まった参加者に苺狩りの説明と、採った苺を入れるトレーを渡してゆく。そこから参加者を5組ずつほどに分け、それぞれのビニールハウスに案内してくれた。
「では前の方に続けて、ビニールハウスの中にお入りください!足元にお気をつけて!」
オーナーが声を掛けると、参加者達は嬉しそうにビニールハウスの中に入っていく。
「立派なビニールハウスだな!」
「ね!たくさんの種類があるから、大きいのかもね!」
二人はわくわくしながら、ビニールハウスをくぐる。
その途端、苺の甘い香りが二人を包み込んだ。
「すごーい!とっても甘い香りがするね!」
「よもやよもやだ…!」
二人の目の前には胸元の高さに設置されたプランターから、たわわに実った苺が数え切れないほどにぶら下がる。
濃い緑色の葉に、真っ赤な宝石のように輝く苺。所々に白い花も咲かせており、3色のコントラストもとても可愛らしかった。
「杏寿郎くん、見て!プランターにプレートが刺さってて、そこに苺の品種と説明が書いてあるよ!」
「成程!まずはこのレーンから攻めていくか!」
「うん!」
二人は早速、掌ほどのサイズの大きな苺を摘み取り、ぱくりと頬張る。
「「…!」」
二人はあまりの甘さに顔を見合わせた。
「美味い!こんなに甘い苺は初めてだ!」
「すごいわっ!ジャムみたいに甘いね!」
他の参加者も、甘い!と歓声を上げ、次々と苺を摘み取っていた。
「他の種類はどんな味がするのかな…!」
「うむ!少しずつ採って食べ比べしてみよう!」
二人はサイズや色を吟味しながら、7種類もの苺を丁寧に摘み取った。
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「随分と摘み取ってしまった!」
「ふふっ、私も!こんなに食べれることなんてないから、欲張っちゃった…っ」
二人のトレーには、山盛りに積まれた苺が。
改めていただきます!と、二人は一粒ずつ手に取り、ぱくりと口に含んだ。
「ん!これはさっきのより酸味があるかも!」
「本当だな!成程、種類によって形も色も少しずつ違うのだな…!」
「どれも美味しいけど、私、この酸味があるのが結構好きかも!」
「そうか!ではかれん、これも食べるといい!」
そう言うと杏寿郎は、かれんが気に入った苺を差し出した。