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檸檬香る、その恋に【鬼滅の刃 / 短編集】

第24章 恋摘む苺〈煉獄杏寿郎〉



・・・

そして苺狩り当日。

天気は晴天で、絶好のデート日和だ。

朝、杏寿郎はかれんのマンションに迎えに行き、そこから苺狩りの農家に向かった。


「私ね、気合い入れすぎかもしれないけれど、朝ご飯は抜いてきちゃったの!…やり過ぎかな?」

「よもや!奇遇だな!俺もかれんと同じく朝食は抜いてきた!」

「え!本当??ふふっ、杏寿郎くんと考えてること、同じね!」

助手席に座るかれんは、鼻歌混じりで楽しそうに外を眺めていた。
いつもはワンピースなど、女性らしい装いが多いかれんだったが、今日は遠出ともあってカジュアルなパンツスタイルだった。細身で華奢なかれんは、何を着てもスタイル抜群だ。恋人としてかれんの新しい一面を見れて、杏寿郎は嬉しかった。

「あ!そうだ!…これ、杏寿郎くんに!」

「?」

そう言うとかれんは、ポシェットの中から温かい缶コーヒーを取り出し、杏寿郎側のドリンクホルダーに差し込んだ。

「…! すまない、ありがとう!」

「ううん!今日は運転してもらっちゃうし、私はナビとかこのくらいしかできないから…っ」

「かれんはいつも用意周到だな…!流石だ!」

「もう!杏寿郎くん、褒めすぎ!照れちゃうよ!」

かれんは恥ずかしそうに顔にかかる髪を耳にかける。ストレートヘアの薄茶色の髪が陽の光に当たり、きらりと透き通った。


かれんとは、同じ職場の宇髄天元が主催した合コンで知り合った。
あまり合コンという場に慣れていなかった杏寿郎だったが、人数合わせに呼ばれてしまい、仕方なく了承し参加した合コンだった。
しかし、今では天元に頭が上がらない杏寿郎だ。こんなにも素敵な恋人に出会うことができたのだから。かれんは控えめな性格ではあったが、愛らしく気さくで、周囲に気遣いができるところに杏寿郎は一目惚れしてしまったのだった。


「む!この信号を右折だな!」

「うん!それで少し進んだ左側に、農園の駐車場があるみたい!」

「うむ!承知した!」


恋人との1時間のドライブはあっという間だ。
会話があってもなくても、同じ空間にいるだけで幸せな気持ちに心が満たされてゆく。

杏寿郎は農園の駐車場に車を停め降りると、かれんの手を取り案内所へ向かった。

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