第21章 心ときめく私のレシピ〈煉獄杏寿郎〉
ふふっ、スイートポテトに感謝だわ…!
かれんは自分のレシピノートをぎゅっと抱きしめた。
その後、二人は準備室を後にし、荷物をまとめて学校を出ると、杏寿郎は車でかれんをマンションへと送ってくれた。
「今日はありがとう。…ではまた明日」
「こちらこそ、送っていただいてありがとうございました。また明日です。お休みなさい。杏寿郎さん」
「ああ。お休み、かれん」
杏寿郎は握りしめていたかれんの手を名残惜しそうに離した。
「…キスをしても?」
「…!」
かれんは恥ずかしさに頬を染めるも、こくんと小さく頷くと杏寿郎の手がその頬に添えられた。
二人の距離が、少しずつ狭まる。
それは今まで食べたどのスイーツよりも、甘いキスだった。
・・・
そしてやってきた週末の夜。
杏寿郎は、かれんのマンションに着くとそのまま近くのスーパーで一緒に買い出しをした。
帰宅後、かれんは杏寿郎の好物を手際良く作り進めてゆく。何か手伝いたい!と何度も杏寿郎は伝えるも、お客様なんだから!とかれんにソファに座らされてしまった。
そして、かれんの想いが詰まった料理が食卓を彩った。
「杏寿郎さん!お待たせしました…!」
「! これは見事だな!!」
「ありがとうございます!じゃあ、食べましょうか!」
「うむ!…そうだ!」
「??」
そう言って杏寿郎がごそごそと紙袋から取り出したのは、色とりどりのチューリップの花束だった。
「これをかれんに」
「…!! すごく綺麗…っ、ありがとうございます…!」
「かれんに色々と任せてしまい、申し訳なくてな。色も春らしくて気に入ってしまった。是非かれんに贈りたいと思い、選んでみたのだが…」
「お花、大好きなのでとっても嬉しいです…!かえって気を遣わせてしまってごめんなさい」
「かれんに喜んで貰えたならば、俺も嬉しい。…そうだ、少し遠方になってしまうが、チューリップ畑で有名な公園があると宇髄に聞いた。今度の週末はそこに行ってみないか?」
「はい!では、お弁当をご用意しますね!」
「かれんの手作り弁当か!それは素晴らしいな!!」