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檸檬香る、その恋に【鬼滅の刃 / 短編集】

第21章 心ときめく私のレシピ〈煉獄杏寿郎〉




もぐもぐと食べる杏寿郎の反応が気になり、かれんは隣からじぃっと見つめてしまう。

「…んっ!これはうまい!!!こんなに美味しいスイートポテトは生まれて初めてだ!!」

「本当ですか…!?良かったです!!」


 う、嬉しい…っ!!

 煉獄先生に喜んでもらえた…!


杏寿郎が嬉しそうにぱくぱくと食べ進める横で、かれんは嬉しさのあまり目頭が熱くなった。



 …もし 煉獄先生が恋人だったら

 こんなふうに
 喜んで食べてもらえるのかな…



毎回、試作品を作っては一人で食し、研究部の生徒ともに新しいレシピも考案してきた。生徒を通じて、自分のレシピが誰か笑顔に繋がっていたらと思うと、こんなにも幸せなことはない。


 でも 一番に思うのは

 願いが 叶うのであれば


大好きな人にいつか巡り逢えたら、自分が真心込めて丁寧に作った料理を振る舞いたいと、かれんは思っていた。


「檜原先生は、他にもレシピをお考えに?」

「は、はい!もともと料理が好きで、色々作ってはいるのですが…」

「そうか。…檜原先生の料理を食べられる人は…幸せだな」


ぽつりと落とすように微笑む杏寿郎に、かれんは釘付けになる。


かれんの杏寿郎へと溢れる気持ちが、聲になって弾けた。


「あ、あの!煉獄先生!もしよろしければ、お夕飯を、御馳走させて頂けませんか…!?」

「…!!」


 ・・・はっっっ!!!

 私ったら何てことを…!!


かれんは自分でも何を言っているのか、分からなくなっていた。不意に出てしまった杏寿郎への誘い。もう後戻りはできない。軽率な態度を取ってしまったと、後悔の念が押し寄せた。


「…ご、ごめんなさい!!私ったら突然失礼なことを…!!本当にごめんなさい!!」


かれんは頭を下げて杏寿郎に謝る。
すると杏寿郎は照れながら、もごもごと話し出した。


「…その、檜原先生、」

「は、はい…?」


かれんは恐る恐る杏寿郎を見上げた。


「…その、檜原先生が良ければ…、週末に夕食を誘おうと思っていてな。今日のスイートポテトのお礼も兼ねて…」

「…!!!」

杏寿郎の発言にかれんは驚き、目をぱちぱちと瞬かせた。

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