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檸檬香る、その恋に【鬼滅の刃 / 短編集】

第21章 心ときめく私のレシピ〈煉獄杏寿郎〉




「…恥ずかしながら、実は大のさつまいも好きでな。もし頂けるのであれば…、檜原先生の作ったスイートポテトを食べてみたいのだが…いいだろうか?」

「…!! はい!もちろんですっ!今お持ちしますね!」

「いや、俺が準備室に行こう!…一緒に行っても構わないか?」

「は、はい…!」

うーん!楽しみだ!と子どものように喜ぶ杏寿郎。
普段はあまり見せない姿に、かれんはまたもや心奪われた。


 無邪気な煉獄先生も可愛らしいな…

 どうしよう

 煉獄先生に どんどん惹かれちゃうわ…


かれんは楽しそうにする杏寿郎と肩を並べ、家庭科準備室に向かった。

・・・


「こちらにお掛けになってお待ちください!今ご用意しますので!」

「檜原先生、俺にも何か手伝わせてくれ!」

「いえ!大丈夫ですよ!煉獄先生はどうかそのままで!」

色々とすまないなと、杏寿郎は準備室の椅子に腰掛けた。


実の所、杏寿郎もかれんに密かに想いを寄せていたのだ。

いつも通り平然と振る舞うも、やはり気になる女性を目の前に杏寿郎も少しばかり緊張していた。残業で疲れているのにも関わらず自分の空腹を気遣ってくれるかれんに、更にその想いが増してゆく。


かれんの手が、小刻みに震える。想い寄せていた杏寿郎と今二人っきりなのだ。そう考えるだけで、かれんの心臓が更に大きく鳴った。


「あの、煉獄先生、紅茶は…お好きですか?」

「ああ!」

「良かった!先日、美味しい紅茶を見つけたんです!」

「…何から何まですまない。檜原先生、ありがとう」

「いえ!今お湯を沸かしますので、もう少々お待ちくださいね」


杏寿郎が申し訳なさそうに、でも嬉しそうに微笑んだ。その笑みにかれんの心臓がときんと跳ねる。


 溌剌とした煉獄先生も素敵だけど…

 こんなふうに笑う煉獄先生も好きだなぁ…


杏寿郎を好きだと想う気持ちがどんどん強くなる。

杏寿郎も、かれんが自分のために持て成してくれていることに、じんわりと心があたたまった。



「大変お待たせ致しました…!安納芋のスイートポテトです!」

「ありがとう!これは美味そうだな!では、いただきます!」

杏寿郎は手を合わせると、ぱくっと一口頬張った。

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