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檸檬香る、その恋に【鬼滅の刃 / 短編集】

第2章 杏子色に導かれて〈不死川実弥〉




かれんはそのやりとりを不思議そうに見ていると、マスターが近寄ってきてこっそりとかれんの耳元に囁いた。

「実はね、実弥くん、かれんさんが来店したら自分に連絡して欲しいって言ってきてね。はじめはどうしようか迷ったけど、あまりにも実弥くんがかれんさんにゾッコンになっているものだから…」

「えっそうだったんですか…!!」

実弥の顔を見ると真っ赤になっていた。そんな実弥を見たのはかれんは初めてだったので、思わず笑ってしまう。

「でもそのお陰で、実弥さんと一緒にいられるようになって、もうこんなに嬉しいことはないです!マスター、ありがとうございます!」

そうかれんが言うと、実弥は恥ずかしそうにかれんを見た。

「…ったくよう、もうこの話はお終いだァ」

「マスター!他にも何かあったんですか?!」

「うーん、あとはねえ…」

「!? もうマジで勘弁してくださいって!!」



やさしい風がたわやかに二人を包むような、その恋はまだ始まったばかり。










 おしまい 𓂃◌𓈒𓐍

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