第15章 灯る君のてのひらを〈煉獄杏寿郎〉
「我妻くん!おはよう!昨日はごめんね…。今、出来上がっ…」
『出来上がった!???!?今出来上がったって仰ってました!??!今受け取りに行きますっっ!!!』
「え?!いいよ!私がオフィスに持ってい…」
『いいですいいです!!!!俺行きますからっっ!!!あ、あと!!かれん先生!!!』
「ん!?何っ!?」
『俺、禰󠄀豆子ちゃんにプロポーズしてオッケー貰ったんです!!!!』
「ウソ!本当!?おめでとう!!今度お祝い…」
『かれん先生の漫画のお陰です!!!マジで!!先生の漫画読んでなかったら、ここまでこれませんでした!!!先生も脱稿おめでとうございます!!!今ダッシュで行きますねっっ!!!』
プツッ ツーツー…
「…我妻少年、いつになく興奮していたな。ここまで声が聞こえたぞ」
「うん、耳がキーンってする。恋人の禰󠄀豆子ちゃんって子にプロポーズして、オッケーもらえたんだって!」
「そうか!それは何ともめでたいな!!」
「私の漫画があって、ここまでこれたって言ってくれたの。…誰かの役に立ててるって思うと、やっぱり嬉しいね」
「かれんの作品は、きっと多くの人の心に届いていく。これからもきっと」
「うん!…私、もう少し、頑張ってみることに、する…!」
「ああ、かれん、俺はいつでもかれんの味方だ。そして何よりも一番のファンだ!」
「ふふ、ありがとう!私もどんな時も、杏寿郎くんの味方よ!そうだ、今日は杏寿郎くんの好きなさつまいも尽くしの夕飯を作りますっ!」
「それは嬉しいな!ありがとう!」
すると、杏寿郎がふわりとかれんを抱きしめた。
「…かれん。君と一緒にいると、まるで醒めて欲しくない夢の中にいるような気分になる」
「…杏寿郎くんの、その夢には…私がいるの?」
かれんが時々見せる、この幼子のように甘える瞳に、杏寿郎はとことん弱いのだ。
「ああ、勿論だ。…ずっと、一緒だろう?」
「うん…!杏寿郎くん、大好き!」
「俺もかれんが大好きだ!」