第14章 聲の向こう〈煉獄杏寿郎〉
「成程!!杏、君は賢いな!!」
「ワン!!」
杏は得意げにその場でぴょんぴょんと前脚を上げた。
「杏を連れてきてくださって、本当にありがとうございました。貴重なお休みのお時間を割いてしまい、大変申し訳ありません…」
「いえ!二人が再会できて良かった!…それにかれんさんにも会えたので、嬉しかったです」
「…!わ、私も、杏寿郎さんにまたお会いしたいなと思っていたので、…とっても嬉しかったです!」
「ワン!」
「そうね、杏が会わせてくれたのよね。ありがとう。お家に帰ったらまた焼き芋をあげるから!」
「…!よもや…!杏はさつまいもが好物なのですか!?」
「えっ、あ、はい!とっても大好きで…!」
「なんとも奇遇だな!杏!俺と一緒だ!」
杏は口の周りをぺろりと舐めていた。
「え!!そうなんですか!?びっくり…!!」
「俺も驚いた!名前も同じで、食べ物も同じでそんなこと」
グ〜〜〜…
「!?」「!!」
「…杏寿郎…さん…お腹、空いてますか…??」
「う、うむ…、まだ昼食を取っていなかったな…。…穴があったら入りたい…」
「…もし良かったら、私の作ったものですが、サンドイッチがあって…。大したものではありませんが、いかがですか…?」
「それは有難い!でもかれんさんの分はあるのか?」
「大丈夫ですよ!お気になさらずに!あ!でも、味は保証できませんっ!!」
「そんなことはないだろう!かれんさんの作るものなら何でも美味い!」
「…!?…あ、ありがとうございます…っ」
「かれんさん!!」
「っはい!!」
「もし良ければ…来週末、いや来週末とは言わず、これからも、その、時間が合えば、俺と一緒に過ごしてもらうことは可能だろうか…?勿論、杏も一緒に!」
「…!!」
「…嫌なら、」
「全然、嫌じゃないです!嬉しいです!…これから杏寿郎さんと一緒に、楽しいこと、たくさんできたら…幸せです…!」
かれんの聲から伝わる想いが、杏寿郎の心をやさしく包み込む。にっこり微笑むかれんに、杏寿郎も笑みが溢れた。
「…!そうか!」
「っはい!」
「…これはつまり…、両想い、なのだろうか!?」
「…っひぇ!?」