第12章 ●ハマる●
「どう?少しは落ち着いた?」
「うん。ありがと。」
どうやらさっきは支離滅裂な事を話していたらしい。
「もう一度順を追って説明して。」
「事務室から連絡があって、客が来てるって。行ってみたらあの女で。」
「ミサト先輩ね。」
「うん。あの人3ヶ月くらい前から悟と付き合ってるんだって。私が悟と自分が付き合ってるって勘違いしてそうだったから、確かめにきたって…。」
「何なの?あの女!信じられない!3ヶ月前ってまだ禁欲してた頃でしょ?もし、これが本当なら五条は裏切ってたって事?」
硝子が怒りを込めて言った。
「裏切りではない。私が禁欲しろって言った訳じゃないし。悟が勝手にするって言ったんだし。」
「クズだな。よりよってあの女と浮気するなんて。」
「違うよ。浮気相手は私の方なんだよ。向こうは3ヶ月前から付き合ってたんだから、私が浮気相手でしょ?しかも、私は悟から付き合ってくれなんて言われてない訳だし。ただ、好きだとしかね。まあ、私からも付き合って欲しいとかそういうのは何も言ってないんだけど。」
「五条のヤツ、帰ったらシメてやる。」
硝子が息巻く。
「何が悪いって……私をその気にさせた事。」
「それよ、それ。あの男、一体どういうつもりなんだろう。」
そして、夜になり悟が帰ってきた。
ドンドンドンドン
硝子の部屋のドアを激しくノックする音。
「おーい!硝子!恋そこにいるんだろ?」
「私に任せて。恋はバスルームに隠れてなさい。」
小声で言う硝子。
私は言う通りにした。
「何しにきたの?」
硝子がドアを開けて悟に言った。
「恋ここにいるんだろ?出せよ。」
悟の声が怖い。
「五条。アンタ、あの子に何したかわかってる?」