第9章 醒める
「悟!」
傑が助けに来た。
呪霊を出して男に体当たりさせ、恋の体は飛んだ。
そして傑が受け止めた。
傑の出した呪霊は男を飲み込んだ。
恋と傑が俺の方へ駆け寄ってくる。
だが、俺は2人を別の場所へ行くよう言った。
傑は天内優先、恋には夜蛾を探すよう言った。
傑に目配せすると、恋の腕を取って俺から引き離してくれた。
「わかった。五条、死なないでね。」
泣きそうな顔してんじゃねーよ。
「死なねーよ。俺は、強いから。」
傑達と恋を見送った後、男が呪霊の体を突き破って出てきた。
男は体に呪霊を巻きつけ、手にはさっきと違う刀を持っていた。
「得体がしれねーな、クソ。」
「星蔣体がいねぇな。できれば五条悟はさっきので仕留めたかったんだが、ナマったかな。」
「天内の懸賞金はもう取り下げられたぞ、マヌケ。」
「俺が取り下げたんだよ。オマエみたいに隙がない奴には緩急つけて偽のゴールをいくつか作ってやるんだ。周りの術師が一人も死ななかったのはクソだったが、懸賞金の時間制限がなければオマエは最後まで術式解かなかったと思うぜ。」
こいつ、何言ってやがんだ?
「あっそ。」
色々言いたいことはあったが、めんどくせーから一言で済ませ、無下限呪術で攻撃を放っていく。
だけど、俺の攻撃は全てかわされていた。
速いだけじゃない。コイツ呪力が全くない。
天与呪縛のフィジカルフィフテッド。
動きがまるで読めねぇ。
男は体に巻きついた呪霊から刀を取り出し攻撃してくるが、俺は無下限呪術で吹き飛ばした。
ハズだったが、吹き飛ばした方向にはもう男はいない。
動きが早すぎて追いきれない。
「蒼」
辺りを吹き飛ばした。
これで遮蔽物をなくし奇襲を防ぐ。
しかし男は森に隠れ、森からは大量の蠅頭が飛び出て来た。
「これじゃアイツの位置が分からん。死角もできた。もう一度やるか。いや待て、アイツの狙いは天内。」
色々考えを巡らせていた時だった。
背後に気配を感じた。