第7章 ●ねだる●
「悟、何かあったのか?」
昼休み、傑に聞かれた。
「いや…何もない。」
恥ずかしくて傑になんか言えるかっつーの。
「まったく、素直じゃないな。五条くん。恋の事だって認めなさい。」
傑がニヤついている。
「何だよ。」
「私が人肌脱いであげよう。」
「どう言う事だよ?」
「恋と2人っきりになれるようにしてやろうって事だよ、悟。」
「あいつ七海の女だよ?それなのに俺に協力してもいいの?七海はお前のこと慕ってるだろ?」
「私は悟の味方だから。」
傑はそう言って笑った。
さすが傑、最高の友達だ。
恋を含めて4人で食事に出かけた。
そして、帰り道。
予定通り傑が硝子にガンガン呑ませ、酔った硝子を介抱すると言い2人で消えた。
おかげで恋と2人きりになる事が出来た。
「お前、俺のこと避けてない?」
今日一日中気になっていた事を聞いた。
いきなりキスした事を怒っているみたいだ。
ちょっとムッとして少し強引に唇を奪う。
「ンッ、ちょっと、ヤダァ。」
そう言って俺の胸を押しのける。
ヤダァって…そそるじゃないの。
舌なめずりをして恋を見ると、涙を流していた。
いや、泣かせるつもりじゃ…
「ごめん。」
謝って抱きしめた。
今度は押し返したり出来ないよう、キツく抱きしめて俺の腕の中に小さな恋を閉じ込めた。
「ごめん。本当に、ごめん。泣かせるつもりじゃなかったんだ。」
お前が泣き止むんなら何でもするよ。
少し力を緩めて恋の顔を見つめた。
初めは地味だと思っていた顔が、今は誰よりも愛しく思える。
「五条」
不意に名前を呼ばれたと思ったら、一生懸命背伸びして俺にキスしてきた。
可愛い。