第41章 ●戒める●
「おはよ、悟。」
「おはよう恋、チューして。」
「無理。」
「何で?」
「ここ職場だから。」
しかもここは学長室。
「いけずぅ。1週間ぶりに会ったのにぃ。」
直哉を懲らしめてから1週間、お互い任務で忙しくすれ違っていた。
去年の暮れに起こった夏油の事件依頼、四六時中誰かと一緒にいるよう悟に言われていた。
だけど、私だって1級術師。
常に人手不足の呪術界の事を思えばわがままなんて言ってられない。
猪野には悪いけど前回は2人だった事が災いして夏油に捕まった。
悟には反対されたけどこまめに連絡を入れる事を条件に1人で任務に行く事を許してもらった。
口を尖らせ、拗ねる悟。
「今夜はグラタン作ってあげるから。」
そう言えば悟が喜ぶ事はわかってる。
「わーい!愛してるよ!」
ほらね。
すると学長が部屋に戻ってきた。
「お前たち、今日から新学期だぞ。」
「はい、学長。おはようございます。」
「おはよう、恋。」
「おはようござあまぁす、学長。」
「おはよう悟、お前はもう少し教師の自覚を持て。」
学長は小さくため息を吐いた。
「では、新入生たちをよろしく頼む。俺も新入生の保護者の一人だ。」
「パンダの事なら私にお任せください。」
「恋、頼んだぞ。」
今日から新学期。
学長は我が子のようなパンダの事が心配でたまらないみたい。
私がホワイトデーの埋め合わせに悟に頼んだ結果、パンダが入学できる事になった。
「ありがと、悟。」
「何が?」
「パンダの事。動いてくれたんでしょ?」
「他ならぬお前の頼みだもん。お礼にチューしてよ。」
「バカ目隠し。」
「アッハッハ!バカ目隠しいいねぇ!私もこれからそう呼ぼうっと。」
「真希!おはよ。」
「おはよう、恋&バカ目隠し。」
「まきぃ、待ってくれよぉ……」