第40章 縋る
「フッハッハッハッハッ!いいね、アンタ!超おもしろい。あのクズの事よっぽど嫌ってるんだ。」
真希が大爆笑してる。
「昔はよく矯正してやってたんだけど、何年も見ない間に捻くれちゃって。何年か前に会ったけどあの時にちゃんとシメとけば良かった。ごめんね。」
「ハッハッハッハッ、いや、今ので充分。スカッとした。」
うれしそうな真希。
やるね、僕の恋は。
「じゃあ、今日からここが真希の部屋だよ。」
無事に寮へ送り届け、時計を見ると朝の4時だった。
「ふわぁ、眠っ。あと数時間で仕事だ。ありがとう、恋。」
「何が?」
「真希を安心させてくれて。家を出て不安だったと思う。それをあんなに笑わせてくれて助かったよ。」
「何がおかしいのかよくわかんないけどね。私はただ、クソ直哉をぶっ殺してやりたいだけなのに。」
「あんまり物騒な事言うなよな。僕までビビっちゃうよ。それよりこれからどうする?ウチ来る?」
「ううん、もうここで寝る。」
こことは高専の仮眠室の事。
一つのベッドで腕枕してやる。
僕の胸に寄り添う可愛いお姫様。
「真希には真依っていう双子の妹がいるんだ。」
「その子は今どうしてるの?」
優しいね、お前は。
「真依の方は呪いも見えるし術式があるから扱いは真希より幾分かマシなはずだ。真依の事は歌姫に頼んであるから大丈夫だよ。」
「ふーん、私に言う前に歌姫ちゃんに言ったんだ。」
ヤバッ、墓穴掘っちゃった。
「ごめん、お前にはなるべく面倒に巻き込みたくなかったんだよ。この件には直哉も絡んでるし。だから、許してねっ?可愛い恋ちゃん。」
僕の首に吸い付く恋ちゃん。
「私のものっていう印つけといた。おやしゅみ。」
可愛い事してくれちゃって。
「おやすみ、愛してるよ。」