第40章 縋る
「マキちゃんいくつ?」
「15歳。来月から高専に入る予定だよ。」
「まさか、あのクソ直哉に何かされてたの?」
「詳しくはわからないけど、直哉の事だから……多分。それがさあ、真希が家出して高専に来るって言ってるから今から迎えにいかなきゃいけないんだ。ごめんね、恋。」
「何でそれを早く言わないの?」
そう言うとグラスを置いて着替え始めた。
「いいの?せっかくのお泊まりなのに。」
「いたいけな乙女が助けを求めてるのに放って置けるわけないでしょ?行くよ!」
何だかめちゃくちゃ男前なんですけど。
お泊まりダメになったって言ったらてっきり泣いちゃうかと思ってたのに。
まだまだ僕の知らない一面があるんだ。
ますます好きになった!
「はーい!僕は恋ちゃんに着いていきまーす!」
真希を駅まで迎えに行き、高専へ連れて行く。
「初めまして、龍恋です。」
「ども、禪院真希です。」
「直哉の従姉妹なのね。」
「あ……の……クズ……の事知ってんの?」
おそらく真希は直哉から相当いたぶられていたはずだ。
「知ってる。直哉の事嫌い?」
「嫌い。」
即答する真希。
「ねえ、悟。」
「なあに?」
「どさくさに紛れて直哉ぶっ殺してもいい?」
いきなり物騒な事を言い出すんだから。
「い、いくらなんでもそれは……可愛い顔して鬼だね、恋ちゃん。」
「ダメなのぉ?」
「そんな可愛い声出してもダメだよ。アイツは一応、禪院家の嫡男だしね。後々面倒にな事になっちゃうし、恋ちゃんが術師殺しになっちゃうよ?」
「そこは五条悟の力で何とかなんない?」
「ごめん、いくら僕でもそれはちょっと……」
「役立たず。」
むくれる恋。