第40章 縋る
「さて、おせちの準備しようっと。」
「恋、手伝いますよ。」
「あら、建人。あけましておめでとう。」
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。五条さんも。」
「よろしく七海。」
コイツとは長い間同じ女を愛してる同士みたいなもんだからな。
3人で厨房へ入る。
「ほら建人の好きな数の子、味見して。」
冷蔵庫から数の子を出して少しだけ七海に食べさせる恋。
「美味しいです。」
「良かった。悟は数の子苦手だから味見してくれなかったの。」
「他はパーフェクトだったよ。」
「さて、詰めなきゃ。」
昨日、何時間もかかって作ったんだよな。
伊地知にも手伝わせて何とか夜までには終わらせた。
それから家に帰って蕎麦食って恋食って年を越したんだ。
学長がついた餅と、七海が作ってきたローストビーフ。
それと恋のおせち。
学生たちに振る舞ったらみんな美味いって言ってる。
そして、隣の愛しい人は大満足の笑顔。
可愛いな。
「恋、五条先生、あけましておめでとうございます。」
「よお、恵。」
「恵、おめでとう。悟、ほら、お年玉あげて。」
「えっ?あ、ああ。ほら、お年玉だ。」
「ありがとうございます。」
これも毎年の恒例行事。
「津美紀はお友達と出かけてるのよね?」
「うん。」
「あの子だあれ?」
まさか恵が女連れとはね。
「あ、あれは、その……同じクラスのやつ……」
「そうなんだ。可愛い子だね。よし、お姉さんが特別にお年玉あげるよ。」
そう言って恋は財布から一万円札を出して恵にわたした。
「ごめんね、裸で。これでどこか連れてってあげなさい。」
「うん。ありがとう、恋。」
うれしそうに女の元へ駆け寄る恵。
「やっぱいいね、若人は。」
「そうだね。」
もういいや、お前がババアでもなんでも好きだから。