第39章 ●縛る(夢主の場合)●
「もーういーくつ寝ーるとーおー正月♪」
「うるさいなぁ。今、テスト中なの。」
「もーう!いーくつ寝ーるとー!おー正月♪」
「ちょっと、出てってよ。」
学生たちがテストを受けているのに悟がうるさいから教室の外へ追い出した。
テストが無事に終わり、慌ててロビーへと向かう。
そこで建人と待ち合わせしてるから。
「もーう、いーくつ………」
ロビーに近づくとまた悟の歌声が聞こえてきた。
「うるさいなあ。そんなんだから追い出したんでしょ?」
悟の近くに建人が座っているのが見えた。
「おっと、噂をすればだね、七海。僕たちの愛しい人のご登場。」
嫌味ったらしい男。
「悟、何言ってんの?建人、お待たせ。」
「いえ、先程着いたところですから。」
立ち上がる建人。
「はい、これお土産。」
「ありがとう。」
「僕のお金だけどね。」
「うわっ、そういう事言う?ケチ!建人、硝子とランチ行こう。」
「はい。」
「ちょっと待ってよ、僕は?」
「悟はこれから任務でしょ?伊地知が探してたよ。」
「クソッ……」
「行ってらっしゃい、悟。」
「行ってらっしゃいのチューは?」
口を尖らせ近づいてくるバカな男。
「バカ!知らない。」
そう言ってさっさとその場を離れた。
後ろから建人が追いかけてくる。
「すぐに戻るから待っててねー!愛しの恋ちゃーん!」
あのバカ………
「もうっ!早く行きなさい。」
悟の方を振り返り手を振りながら口パクでだいすきって伝えた。
「もしもし、恋?」
夜、悟から電話がかかってきた。
何だか不安そうな声。
建人の事心配してたのかな?
「おつかれさま、悟。」
「今終わったからもうすぐ帰るよ。」
「気をつけてね。」
「今どこ?」
ほらね。
「硝子の家。」