第38章 ●縛る●
何だ?コイツ。
イライラする僕。
「ありがと、真田さん。」
笑顔で礼を言う恋。
その笑顔は僕だけのものなのに。
「良ければ注ごうか?」
真田が言った。
「いや、いいよ。貸して。」
真田からボトルを受け取り僕が注いだ。
「かんぱーい!」
硝子が音頭を取り、宴が始まった。
「ところで2人は高専で何を教えてるの?さっき体術って言ってたけど恋ちゃんは体育の先生かな?」
真田は非術師だ。
硝子は自分の仕事の事を普通の高専の校医だと言っているらしい。
まあ、呪術だの術師だの言ったって一般人に理解できるはずもない。
だから、僕と恋の事も高専の教師だと話してあるそうだ。
まあ、あながち間違いでもないんだけど。
「私が社会で悟が体育。だけど、お互いの授業手伝ってるの。」
恋が言った。
上手い、ある意味正解だ。
「へえ、そうなんだ。それにしても君は可愛いから教師には見えないね。」
執拗に恋に絡む真田。
「可愛いでしょ?僕の恋ちゃん。」
恋の肩に手を回し、僕の方へと引き寄せた。
「もうっ、悟ったらやめてよ。食べてる時に。」
プンプン怒ってすぐに僕から離れ、食事を続ける恋。
「アッハッハ、五条怒られてる。」
爆笑する硝子。
お前の男のせいだろ。
「硝子、お前どれだけ飲んだんだ?」
気になって聞いてみた。
「うーん、ここの地酒が美味しくてね。どれだけ飲んだかはわかんないなぁ、アッハッハ。」
「硝子が楽しそうで良かった。ウフフ。」
おいおい、恋まで酔ってきてるじゃん。
「恋ちゃん、お酒弱いんだね。」
ニヤつく真田。