第4章 ●気になる●
ゆっくりと近づく。
すると、声の主は硝子と恋だった。
隣にいる傑にアイコンタクトする。
会話を盗み聞きするためだ。
「七海とはどれくらい?」
硝子が恋に聞いている。
えっ?恋って七海の女だったの?
しかも七海の事を建人って呼んでるし。
その事実が衝撃すぎて後の話はあまり耳に入ってなかった。
再び会話に集中する。
「朝ごはん?あんた、料理できんの?」
硝子の驚いた声が響いた。
「何もできない男と暮らしてたから。」
何もできない男だと?
七海の事か?
そう思っていたら硝子が七海じゃないよね?と聞いてくれた。
すると、恋は朝ごはんを食べながら話すと言った。
これは、朝ごはんを食べに行かなきゃならんでしょう。
そう思い、傑を無視して出て行った。
「俺たちも朝ごはん食べたいなぁ。」
そうすると俺たちも朝ごはんにありつける事になった。
料理が得意ってあの地味な雰囲気にピッタリだと思った。
部屋に着いてから恋が料理している姿をサングラス越しにじっと見てた。
セミロングの髪を傑みたいにゴムで団子にして、白いうなじを出している。
ちょっとエロいかも。
俺のタイプではないけど…
出来上がった料理はめちゃくちゃ美味かった。
しかし、何故トーストに味噌汁なのか不思議に思っていたら、二日酔いの硝子のためにわざわざ作ったという。
こいつ、いい奴なんだな。
そこで気になっていた事を聞く。
直後、いつものように傑のお小言。
でも、恋は話してくれた。
内容は想像したよりもかなりハードだった。
料理出来るようになった理由を聞きたかっただけなのに、恋は全て話してくれた。
こいつ、苦労人なんだな。
それにいい奴だし。
七海にはもったいないくらいだ。