第4章 ●気になる●
俺は強い。
俺が生まれて呪術界の均衡が崩れた。
俺に敵う者はいない。
ガキの頃から何不自由ない生活を送ってきた。
欲しいおもちゃも欲しいお菓子も全て手に入れてきた。
だけど、思うようにならない物があった。
それは女だ。
何故か昔から身近な女に嫌われる。
同級生にも、親戚の女にも、仕舞いには使用人にまで。
「なあ、俺とつきあってくれよ。」
「やだ。」
「ねぇ、俺のこと好きだろ?」
「嫌いよ。」
「俺の女にしてやってもいいよ。」
「ご勘弁下さいませ。」
使用人にまで振られた時は流石に凹んだ。
けれど、遊びの女には困らなかった。
何でだろう?
親友の傑に聞いてみた。
「それはね、悟。君は性格に問題があるからだと思うよ。歌姫先輩だっていつも君にキレてるだろう?だけど、一夜限りの関係だと性格なんてどうでもいいだろう?」
傑の言うことは一理ある。
確かに、俺と関わる女はキレ気味のやつが多い。
歌姫に、硝子だってよく俺の事をクズだと言うし。
「性格ねー。今更直せるかっつーの。」
結局、開き直る事にした。
彼女が出来なくったっていい。
ヤレる女は沢山いる。
今夜も傑と一緒に街へ出かける。
「ねぇねぇ、おねーさん。遊びましょ?」
派手な女にこう言えば一発で釣れる。
「ねぇ、キミ年いくつ?」
釣った女とホテルに入った。
「さあ?いくつだと思う?体見て調べてよ。」
そう言って服を脱ぐ。
「へぇ、すごい体。たっくましーい。」
「おねーさんも脱ぎなよ。」
「脱がせて。」
女をベッドへと押し倒してキスをしながら服を脱がせる。
ちょろいもんだ。
こういうのは絶対に上手くいく。
「おねーさん、携帯教えてよ。」
別れ際に聞く。
「ごめんねー僕。家に怖いおにーさんがいるから教えてあげられないの。」
結局こうなるんだ。
女は振り向きもせず、手をヒラヒラさせながら街へ消えていった。
「傑、どうだった?」
別の女と消えていた傑と落ち合う。
「まぁ、いつも通りかな。悟は?」
傑はあまり恋愛に興味がないようで、こういう割り切った関係を楽しんでいる。
「俺もいつも通りだよ。」
「そうか。そろそろ帰ろうか。」
「あぁ。何か腹減ったし、帰って甘いもんでも食うわ。」
寮に帰ると、誰かの話し声が聞こえて来た。