第4章 ●気になる●
「な、何して、るの?」
声が上擦る。
「俺のこと可愛いって言うからお返し。」
舌をペロッと出すと、私の前に出て歩き始めた。
後ろからついて行く。
お返しって何?
どういう意味?
ドキドキが止まらない。
先生に報告してる間も心ここに在らずの状態だった。
ほとんど、五条1人で喋ってた。
私はたまに相槌を打つだけ。
「以上でーす。」
五条が一際大きい声で言った。
「わかった。ご苦労だったな、恋、悟。」
夜蛾先生が労ってくれた。
「は、はい。ありがとうございます。」
慌てて返事を返す。
「では、解散。」
先生はそう言うと職員室の方へ帰って行った。
「ねぇ?お菓子って何作ってくれるの?」
帰り道五条に聞かれた。
「うーんっと、今家にあるもので作れるのは…マフィンかなぁ。」
「マフィン?やったー。ねぇ、作ってるとこ見てちゃダメ?」
えっ?コイツ何言ってんの?
「それはちょっと…建人がキレそう。」
「大丈夫!アイツは俺には逆らえないから。」
そう言うと彼はスキップしながら寮へ向かって行った。
「ちょっ、待ってよぉ。」
後を追いかける私。
寮に戻るとロビーで建人が待っていた。
「なーなぁみぃー!」
五条が大きな声で呼ぶ。
「何ですか?五条さん。」
訝しげな表情の建人。
「今から恋がマフィン作ってくれるんだけど、俺作るところ見たいから見ててもいい?」
五条が頼む。
「…何故みたいんです。」
建人はすこし呆れ気味だ。
「焼ける匂いとか嗅ぎたいんだよ。なっ、いいだろ?七海。」
少し間を置いて建人が口を開いた。
「わかりました。見るだけなら。」