第37章 ●委ねる●
「じゃあ、恋のケーキが食べたい。」
「イブは温泉だから前の日にでも作るね。」
「そうじゃなくて、恋をケーキにするの。」
「何言ってんの?」
「クリームでデコレーションしていちごも乗せるんだよ。」
「何なの?バカなの?変態なの?」
「僕は変態です。クリスマスだからいいじゃん。変態プレイしようよぉ。」
「最近ずっとしてるじゃん。変な格好ばっかさせて。」
「クリスマスはサンタのコスプレしようね。」
コイツ、人の話きいてない。
「悟、楽しそうだね。」
「楽しいよ。恋は楽しくないの?」
悟が楽しいならいいか。
「楽しそうな悟見てるのは楽しい。」
「もうっ、可愛い事言うなよ……キスしてもいい?」
うっとりした顔でにじり寄る悟。
「ダメに決まってるでしょ。ここが何処だかわかってるの?」
ここは高専の廊下だ。
「いいじゃん。誰も見てないんだから。」
「そう言う問題じゃない。じゃあね、私は忙しいから失礼。」
手をヒラヒラさせて悟から離れた。
次の授業の準備しなきゃ。
あれ以来、夏油の行方は掴めていない。
おそらく海外だろう。
悟はあれからずっとウチに泊まってる。
悟が留守の時は高専で硝子や伊地知と酒盛り。
そこへたまに建人や猪野、日下部がやってくる。
お陰で夏油を思い出して涙を流す事もなった。
クリスマスイブの朝、悟と温泉へ出発。
硝子達とは現地集合。
「やっぱり着物似合うね。」
今日は椿柄の着物を着た。
ちなみにこれは何年か前のクリスマスに悟が買ってくれたもの。
「ありがと。悟が買ってくれた着物よ。」
「本当だ。着てきてくれて嬉しいよ、ありがと。」
旅館に着き、館内のカフェでお茶しながら硝子達を待つ。
しばらくして硝子と彼氏がやって来た。
「あっ!硝子だ。おーい!」