第37章 ●委ねる●
「ジングルベールジングルベール♪」
「恋、ちょっとアイツ何とかして。うるさくて昼寝も出来ない。」
昼休み、保健室でお弁当を食べた。
硝子はいつものように二日酔い。
悟は上機嫌でクリスマスソング歌ってる。
「悟、うるさい。」
「お二人さん、世間はクリスマスムードだよ。高専はクリスマスムードゼロだもんね。正門の横にある木がもみの木っぽいから飾りつけようとしたら学長に怒られちゃったよ。」
「今朝騒いでたのはそれだったの?」
「ハハッ、五条もやるねー。」
硝子が笑った。
「だってここの奴らクリスマスも正月も関係ないって感じだからさ。」
悟が窓の外を見ながら言った。
「確かにね。ここにいたら世間からどんどん置いていかれる気がするよね。」
何だかしんみりする。
「恋、クリスマス楽しみだね。」
悟が満面の笑みで言った。
「うんっ!硝子の彼氏に会えるからね。」
私も釣られて笑顔になる。
「そうじゃなくて2人で温泉入ったりラブラブする事だよ。」
「ああ、そっちか。」
「酷いなぁ。」
「アッハッハ!」
硝子が爆笑してる。
「硝子、笑いすぎ。」
クリスマスイブの日は以前悟に連れてってもらったあの高級旅館に泊まる予定。
実は悟は随分前から予約してたらしい。
別れた後もキャンセルしなかったんだって。
悟は隣の部屋も押さえてたから硝子とその彼氏も一緒に行く事になった。
硝子は秘密主義であまり会わせてくれなかったんだけど、今の彼氏は私たちに会わせろってしつこいんだって。
「悟、クリスマスプレゼント何がいい?」
昼食後、職員室に戻る道すがら聞いてみた。
「僕は恋が戻ってきてくれた事がプレゼントだよ。」
「誕生日もそんな事言ってたじゃん。」
結局誕生日プレゼントは渡してない。