第37章 ●委ねる●
あの店員の子達、ウチの学生ぐらいの年代だよね?
悟はこういうの好きだな。
他人に見せつけるの。
私、昔は嫌だったけど何年も付き合ってたら段々慣れてきちゃった。
悟がサングラスを下げて店員さん達に向かってウインクした。
キャーキャー悲鳴をあげる店員さん達。
みんな目がハートになっちゃってるじゃん。
本当、モテモテ。
「ふーん、こういう風にして女の子落とすんだ。」
ぷいっとそっぽ向いてやる。
浮気した罰だよ。
「ごめん。」
「否定しないんだ。」
「ぜーったいにもうしないから。何ならここで土下座しようか?」
私がそういうの嫌いだって知ってて言ってる。
「悟のバカ。」
「バカが好きなくせに。ほら、キスしてよ。」
そうでした。
私はこのバカが好きなんです。
キスしてあげた。
今度は何味だろう?
ん?
酸味と少しだけ苦味。
「イチゴとコーヒー。」
「大正解!やるね、ミックスしたのに。」
「まあね、アイス大好きだから。」
「そこは悟くんが大しゅきだからって言って欲しかったな。」
「アイスの方がしゅき。」
「ひどっ……いいもん、どうせ僕はアイス以下の男ですよーだ。」
拗ねちゃった。
「アハハ、可愛い悟くんもだいしゅき。」
「ありがと。僕も大しゅき、可愛い恋ちゃん。」
今度は腰と頭に手を回されて抱きしめられた。
一際大きな悲鳴が聞こえた気がした。
このままでいられたらいいな。
悟に身を委ねたままで。
ふと、窓の外を見る。
街はクリスマス一色に染まってる。
今年はどんなクリスマスになるだろう。